ラングラー(Wrangler)

ウエスタンをイメージした独創性溢れる金字塔

ラングラー

ラングラーの歴史は、1904年にチャールズ・C・ハドソンによって設立されたハドソン・オーバーオール社から始まる。1919年に自社工場を設けた時に社名をブルーベル・オーバーオール社に変更した。以後、1926年にビッグベン社、1936年にグローブス・スペーリア社と合併。

そして、1943年にラングラーの商標を持つケーシー・ジョーンズ社を買収する。吸収合併により規模を拡大していったブルーベル社はラングラーをデビューさせる。

1946年より社員投票によって決まったブランド名であるラングラーのジーンズ開発がはじまる。

ウエスタンをイメージした独創性溢れる金字塔といわれるラングラーはジーンズブランドとしては後発であった。よって、ラングラーは、より明確な差別化を打ち出すことに迫られていた。

そこでハリウッドの衣装デザイナーだったベンジャミン・リヒテンシュタインを迎え、ワークウエアという位置づけであったジーンズにデザイナーを導入した。1947年にロデオ・ベンの名で親しまれたリヒテンシュタインがデザインしたジーンズこそ、世界初のデザイナージーンズである11MWである。

激しい馬上でもベルトがずれないよう設けられた7本のベルトループや、鞍を傷っけない形状のスクラッチレスリペット、運動性を考慮したスリムフィットなどがこのジーンズの特徴である。シルエットや独特の位置に縫い付けられた小さめのパッチやヒップポケットにラングラーの頭文字を象ったサイレントWと呼ばれるバックポケットステッチなどで独創性溢れるものであった。

それから、ロデオ・ベンはジム・ショルダーやフレックル・ブラウンら当時のロデオ・チャンピオンたちに意見を聞き、1948年に11MWの改良モデルとして発表したのがロデオやカウボーイたちに不可欠な機能性もしっかりと確保された11MWZである。

このジーンズが前年の11MWと決定的に違っていたのは、フロントがジッパーフライだったことである。ボタンフロントの隙間に牛の角が引っかかるので危険だという理由からの変更だった。また、レザーラベルも鞍の革とすれて癒着するという理由で塩化ビニールに素材が変更されている。

1960年代終盤には、14と3/4オンスのデニムは、綾目が交互に走るという特殊な方法で織布され、シームにネジレが生じないという特性をもっているサンフォライズド加工を施したブロークンデニムが採用される。

1960年にはラングラーは全米のプロロデオ協会をサポートする契約を締結。そして1975年には13MWZに全米プロロデオカウボーイ協会の公式ジーンズに指名される。

しかし、ラングラーの動きはカウボーイ専門だけにとどまらない。ラングラー・アメリカと名づけられたフィットを追求したジーンズやアウトドアをターゲットにしたジーンズも作り出されている。

このようにラングラーは、ファッション性と機能性の現代のジーンズにとっても欠かすことができないこのふたつの要素をデザイナーやプロのユーザーが見事に併せ、世界初のデザイナーの概念をジーンズの世界に導入したジーンズブランドである。

リーバイス、Leeと共に、ラングラーもまた、3大ジーンズブランドの1つとして数えられる。

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